サマソニの実感

into-the-sky2006-08-18

 昨日までの数日はどこか熱帯の国に来たような感じ。日差しが届いたかと思うと突然強い雨が降り出す。昨夜は深夜車を運転していたが、バケツを上から注がれたような強い雨も、百メートル程度の先の信号では、完全に止んでいる。私はこの極端な境界がとても好きなので、メリハリの利いた空模様を楽しんでいた。今日は変わって朝から快晴。強い日差しが照りつけて、暑い。

 ところで、最近、私が外でどんな仕事をしていたかというと、別に毎日屋外でプールの監視員をしているわけでもなく、毎日、庭の水まきで明け暮れていたわけでもない。定常的な職場を離れて仕事をしているという意味。(誰も誤解していないか)
 その一つは、サマーソニック2006東京。このイベントの、某大ブースでの製作業務。あるセクションのプロデュースを勤めた。

私は始めての経験で、イベントを一口に説明しようとしても、何と言えばよいのか、言葉が見つからない。海外のアーティストによるライブを中心とする若者向けのイベントと言えば間違いないだろうか。千葉マリンスタジアム幕張メッセやその周辺の方々で、大小様々なイベントが二日間にかけて行われるもの。音楽には異常なほど興味があるが、とかくロックとなると閉鎖的。おそらく本場のロックを、正しい音で聞いていないせいだろう。メロディも歌詞もがさつで聞くに堪えない、何ら頓着もない、時折意味が成立しないような英語が散在している日本のロックの大音響は、世界一の騒音だと思っている。そうではないアーティストも、きっと、いるのだろうが。
 そんなイメージを拭い切れないイベントでも、スタッフとして参加するのは仕事として割り切っている。当然のことだろうが、むしろ、このような外の仕事は、新しい何かに気が付いたり解ったりすることが多く、好きである。

 このような大型の催事スペースでの大規模なイベントでは実に多数の様々なスタッフがいる。流石にこの仕事も長いので最近では驚かないが、スタッフをしきるスタッフからスタッフを下支えするスタッフまで大勢参加している。客と接するスタッフが10人いれば、それ以外のスタッフも10人はいるだろう。スケジュール的にも、開催日が二日間あるとしたら、直接関わる日数は準備や撤収を含めて少なくとも倍の四日間。公式なイベントの詳細が三ヶ月前にアナウンスされるとすれば、その三ヶ月前には既に大体は決まっているし、半年前に開催日が発表されるとすると、イベント当日の一年前には少なくともそれが決まっていることになる。全体的に何に関しても、ほぼ“2倍”のイメージを持っていれば間違いないだろう。イベントなどのチケット代が安くても一万円弱から数万円もするのは、このような図式からなるもので、あらかじめほぼ整った環境で行われる、ホテルの宴会場での出演者一人のディナーショウは相対的に高額であるし、無料に近いイベントは、強靭なスポンサーがついていないと完全に成立しないものである。サマーソニックのように、一日一万円以上の代金で何万人も来るのが、極自然に思えてくる。
 沢山の客が来ると聞いていても、前日のスタンバイ時では想像できなかったが、当日、もう当日の多客には、思わず、口が塞がらないどころか、むしろ、閉口。どこで待っていたのか不思議でしょうがないほど、会場のわずか一時間後には人だらけ。盛り上がり様と言ったら、またしても適当な言葉が見つからない。
 休憩時間に周囲を大きく歩いたが、皆、表情はとにかく楽しそう。仮設の屋台も数え切れないほどで、酔って床に寝そべる人も沢山。客の殆どは、20歳前後から30歳前後までの若年層が中心だろうか。それでも参加無料であり自由な夏祭りなどに比べると、一応に楽しく穏やかで、トラブルもほとんど無かったようだ。祭りやイベントと言うと、マスコミでは、ことさら、若者の横暴さが強調されているように散見されるが、本質や原因は違うもののようだと、解る。

 大勢が、時間と場所を共有し、皆一応に朗らかな表情で体一杯楽しんでいる姿を見ると、見ているスタッフの我々もやる気が出るし、このような楽しみ方もあるのかと、新しい気持ちに出会えた。それは、「来年は客として来られたらな」と思うほどである。
 しかしながら、来年も、また、同様なスタッフとして、製作に携わることになりそうだけれど。