黒い試練と黄色い神秘

into-the-sky2006-04-20

 小さい写真だと解りづらい。実はこれ、アスファルトの下から這い出ようとしている“タンポポ”。まさに今、これから!の状態。奥は既にアスファルトから発芽していて、手前の膨らみはまさに顔を出そうとしている状態。たんぽぽと言うと極一般的に春になるとあちらこちらで黄色い花を見ることが出来るが、これだけ沢山あると特に気を留めずに淡々と季節を感じる程度になってしまうのだ。しかししかし、このたんぽぽ様は実はかなり賢く、また、強靭な生態の持ち主なのである。
 たんぽぽは春に花を咲かせ、その後は綿毛をつけた種子を飛ばし種を守りまた、増やそうとする。写真のカントウタンポポ等の在来種は主に初春から初夏にかけて開花するのに対し、帰化種であるセイオウタンポポは冬以外の季節に通して花を咲かせる。どちらも季節の途中で枯れる事が無く、冬の間はいわゆる冬眠のような状態で、寒さや渇きから身を守るためじっと地面に這うように休み、春一番に花を咲かせるべく栄養を根に溜め続けているというわけ。

 そう!タンポポはこの“根”が重要なのだ。
 タンポポは“根生葉”と言い、一般的な植物のように葉茎を伸ばさず根茎から直接水平方向にのみ葉を伸ばし、中央から花茎が伸びているだけの構造になってる(結構すごい!)。更にこの根の凄いところは、その根の断片が数センチあるだけでそこからまた発芽し、葉を増やし花を咲かせることが出来ること。タンポポと言うとその綿毛の種子を風で飛ばす“種子繁殖”があまりにも有名ですが、上記のように根から繁殖する“栄養繁殖”によっても種の保存に頑張っているわけ。人間よりも繁殖力旺盛だ。これを見習うべきか、どうか。そんなことはないか。

 実はこれが、歩道の敷かれているアスファルト等の下や隙間から発芽させる要因にもなっているわけで、舗装の作業を行う時、路盤工事時に根きりを施し、砂利などを盛り築造していくのだけど、歩道の場合は車道よりも下地の層が比較的浅いので、その下に根が残っているとそれらが敷かれた下から強い生命力を持ったタンポポ様達が伸びてくる。加えて、それが端部だったりすると、生きているタンポポからの根が下層で繋がりそこからまたタンポポ様方がお見えになる事にもなるのだ。
 探すまでもなく沢山姿を見ることが出来るので、大して関心も持たないちょっと可愛そうな存在だけど、なかなかどうして、タンポポの生命力は強い。
 他の植物に比べると花の色の割りに地味な生え方をしているタンポポ達を、春の心地よい日差しのように、暖かく見守ろうではないか!と、勝手に自分に言い聞かせて・・・