自分訪問

into-the-sky2007-03-06

 昨日は、もう、「風が強い」という印象しか残らない天候だった。強い風で、たまにビニール袋が飛んでいた。たまに、水滴も混じっていた、みたいなものか。日中は二つの会議で外を知らず、退勤した時は既に小雨になっていたが、時間や場所によっては、かなり激しい風雨にさらされたようだ。自宅近くのタクシーからは、月がはっきりと見えたし、家に入ると、今朝までの乾燥した冷気が残っている。しかし、この時期、これだけ低気圧が発達すると、その後は決まって寒くなる。そんな今日の23時、気温は既に、4℃しかない。

 一昨日の日曜日は、図書館へ。小説・随筆・エッセイ・専門書の計4冊を借りた。引き続き、借りる冊数を少し減らしている。今、ストックしている古本は、二週間ほどで読み終える予定。と、いつものように記録しておく。
 最近、いつも行っている図書館が混んできたようだ。まだ、新しい施設だから、知名度が上がってきたのだろうか。土曜日曜に行くとそれが顕著で、普通の図書館の3倍はあろうかという閲覧席も、ほぼ埋まっている。その大半は、学生の勉強に使われているように見える。「勉強熱心な人は沢山いるものだな」と、しみじみ。学生時代の僕では、考えられない。改めて、「自分は勉強しなかったのだな」と、しみじみ。『しみじみの2乗』=“本当は何とも思っていない”である。意味不明か。


 最近は、学生の就職活動の一環で、“OB訪問”なるものがあるらしい。自分が就業したい会社に、自分と同じ学校の先輩がいれば、その人を訪ねる、というものだ。確かに、就職活動の本を眺め見ると、OB訪問のススメ的なことも書かれている。しかも、なるべく歳が近い人を訪ねた方が参考になる、とも書かれている。これらのことに、僕は、首を傾げる。
 まず、OB訪問をして、何を知るのか、ということだ。代表的な質問とは、内定をもらうための秘訣は何だったのか何が大事だったのか、その組織で仕事をする上で何が必要か・・・、ということだろうと、推測するが。

 内定をもらうに至る過程は、人それぞれである。一発で、決めた学生もいれば、20社も受けてようやく決まった学生もいる。この時点で、既に両者の秘訣は大きく異なる。しかも、その学生だったから決まったのだし、その学生だったから決まらなかったのであって、秘訣は人それぞれである。ごく一般論を言えば、自分自身というものをアピールでき、熱意を伝えられた学生は、かなり高い確率で内定が決まるのだろうが、やはり、一般論だという時点で、あえてOBに聞くまでもなく解り得ることである。それこそ、就職本で事足りるはずである。秘訣を聞いてそれを真似ても、ほとんど意味はないだろう。
 また、何が必要か、ということに関しては、歳がそう変わらない入社2.3年前後の履歴の浅い社員に聞いて何が解るのか、と思ってしまう。初めのうちは、解らない。解らないけれど、やるしかない。それでも、やがて、会社や組織の全体像が掴めて、自分のポジションが解る。ポジションが解るから、自分がやるべきことが明確化する。個人差は当然あるだろうが、少なくとも2年前後では無理だろうと観察されるし、求められるスキル、必要とされるスキルは、時と場合で異なり、一概に言えない。「今はこれが大事だ。けれど、それは今の私だからだ」というのが、その先輩の本音ではないだろうか。しかも、それは入る前から解るべきことではなく、入ってからできるだけ早く知った方が良い、ということでしかない。

 自分自身が、どのようなスタンスをとるべきなのか、ということが大事なのであり、文字通り、それは自分自身のテーマであって、他人の意見がそのまま参考になるはずがない。自分自身がとう振る舞うのか、には、まずは自分を知ることであるし、それに必要なのは、客観的な視点である。メジャな就職活動も就職本も、それ自体を否定しているのではない。けれども、しかし、それだけで内定が決まるのであれば、沢山の学生が容易く成就しているはずである。
 やはり、最も必要なのは、他人訪問ではなく、“自分訪問”だと思うが。いかがだろうか。

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