紙はなくなるか

into-the-sky2006-05-22

 ワードプロセッサ、そして、パーソナルコンピューターの普及。やがて、オフィスコンピューターにLAN。オフィスオートメーション(OA)の分野は、目まぐるしく技術が進歩した。
 そこで、言われたこと。
 “紙はなくなる”
 実際はどうか。
 なくなっていない。消費量は増え続けている。

 そもそも無くなるとか減るといわれ始めたのはなぜだろうか。
OAは、紙以外の情報伝達手段だと意識され、保存手段だと意識されたからだ。コンピューターの画面で文字が読め、その情報をデータとして極めてコンパクトに記録保存できる。紙は減っていく一方だとの予想をしたのだ。言っておくが、その考え方は決して間違えではないし、理想の方向性としても正しい。
 しかし、現状のOA化は、まず、書類をつくる方法・手段に高い利便性をもたらした。誰でも簡単に書類を作れるということ。今まで、口頭で済んでいたもの、あるいは、心の中で通じ合っていたものを文語化して書類にする。こういう訳だ。
 今まで時間とコストをかけて、街中の写植屋に注文する元来の手段の中、紙による書面は最小限に抑えられてきた。今はその“抑え”がなくなったのだ。

 社会の仕組みもある。対個人の取引は、ネットによる非紙上化が大分進んだが、仕事の環境は、とにもかくにも、“紙”を基準にしてまわっている。どんな小さい取引でも、紙面に印鑑なのだ。社内でプレゼンテーションするにも、パソコンに紙のレジュメが付く。おかしい。

 まだ過渡期なのだ。大勢が変わらない限り、スッポト的に物事やシステムが変わっても、意味はない。
誰かがどこかで、紙を必要としている以上、どこかの誰かも、紙を必要とするからだ。