大事なものを見逃しては・・?

into-the-sky2005-05-11

我々人間は、普段よく見ているようで実は見ていない事や物が多いんですよね。それがとかく日常の生活圏内だったりすると尚更。さすがに今まで無いもので新たに出来たものであったり明らかに形状が変わると目を留め存在を認知することになるのですが、そうでないものに対しては、「え?こんなのあったっけ?」と思うことも少なくありません。
我々の身近には結構沢山の“視界下の無意識”はあるんですね。
そこで今日触れさせていただくのは、写真のこれです。
大抵地上よりも上にそびえ立つ構造物と言えば、マンションや高層ビルなどの建築物かそうでないもの程度しか認識していないんですね。そうでないものの代表としては、送電線鉄塔や、標高が比較的高い聖ヶ丘若葉台周辺では電波塔がそれにあたるでしょうか。加えて最近では携帯電話用の基地局もそれにあたるでしょう。上述の定で言うと、特に意識して見ない限り、“そうでないもの”とは、“鉄塔等のそれら”との認知で終わってしまい、個々の存在理由や意味までは及びません。私も今回掲載した“もの”が何かは撮影するまで考えようとしませんでした。
そしてこれが何か?色々調べたところ、川崎市広域レーダ雨量情報システム「レインネットかわさき」レーダー基地施設です。当該施設は川崎市の浸水災害対策によって平成になって建設されたものなんですね。カバーエリアは思いのほか広く、南は伊豆半島南部、東は一部を除く房総半島全域、北は群馬や栃木県の南部がそれに含まれています。残念ながらこのレーダーで感知された情報はWEBサイト等では一般向けには公表されていないんですね。
一方、東京側に目を向けるとやはりほぼ同じような施設が整備されています。
写真のメインがそれにあたります。正式名称は“東京域レーダー雨量計システム稲城レーダー”となっています。
こちらは東京都下水道局が所有管理するレーダー式雨量観測システムで、東京都内に稲城レーダーと港レーダーの二箇所が存在しています。いずれも中心から50キロメートルの仮想円内を観測しています。
このレーダーが優れているところは、気象庁が所有しているレーダーは最低解像度をドットメッシュで表した場合、その一つのマスが2.5キロメートルなのに対して、下水道局のレーダーは一つのマスが最小250メートルであることです。250メートルメッシュと言うと、仮想正方形をどのように配置しても、例えは、若葉台ワルツの杜での降水とファインストーリアの非降水を観測出来たり強度の違いを観測出来たりするわけなんです。通常の温帯低気圧前線面北側で降るようなシトシト雨はこの距離で特に変化も無いですが、雷雨時は道路の信号一つで強度が変わることも多いですから、このレーダーはかなり威力を発揮するんですね。
仕組みとしては一般的なレーダーエコーによるもので、送信部から空間に向けて(この場合雨滴に)電波を発射。電波の周波数による物質に対する反射・吸収・回折などの現象を利用し、雨滴の有無や大きさ・量を反射エコーと地上雨量計とをミックスし、コンピュータで解析しオンラインで各所に表示させるものです。写真では、白い球形がレーダー部で、球形のカバーの中に送受信用のアンテナが設置され、それが回転しながら円形に観測しています。
稲城レーダーは東京都下水道局のWEBサイトhttp://tokyo-ame.jwa.or.jp/でデータが公表されており、かなり詳細な雨域とその強度を知ることが出来ます。
ちなみに設置場所は、もちろん東京都稲城市内。具体的な場所を知る前は標高の高い見晴らしの良いところではないかと思っていたのですが、むしろ、一部を除く周りを森林に囲まれた丘陵地中のある部分にあります。実は私はそこに近接した街道を何度も利用していたのですが、これまた、まったく気が付きませんでした〜。
あえて伏せておきますので、暇な時にでも探検してみてはいかがでしょうか。(笑)