パイプのゴミ?ゴミのパイプ?

東京都多摩市の多摩ニュータウン内京王・小田急多摩センター駅周辺では、建築物や道路等の地下に設置され張り巡らせたパイプを通してごみを集める「管路収集」を行ってきました。これは多摩市が1983年に国を挙げての画期的な新事業として導入されたものなんですね。私は同市に転居してくるまで知らなかったのですが、1977年に当時の建設省のモデル事業として導入が決まり、日本住宅公団(現都市再生機構)が整備。試験運用を経てその後本格導入に伴って市に移管されました。管路収集が行われてきたのは多摩センター駅の南部分周辺の約82ヘクタール。パイプの総延長は約6.5kmで、544戸の住宅の他、30を超える事業所や公共施設で使用されてきました。
ゴミ収集車の変わりに、各戸・施設等に設けられた専用の投入口から空気のプレッシャを利用してゴミを吸い集める仕組み。収集センターに集められたゴミは清掃工場に搬送されるのです。
当時としてはバブル経済崩壊前のいわゆる“大量生産・消費社会”。画期的なシステムとして各地からの視察が相次ぐなど一時脚光をあびたのですが、1kgにつき40円の施設使用・処理料もあり利用者は伸び悩み、メインテナンスコストもかさんだため、同施設の撤退を決定したんですね。
この時代、各自治体等ではゴミ収集等事業の有料化を進めるなど、ゴミの減量や利用者負担への方向となっていますから、時代を考えるとむしろ当然の決定とも言えるのでしょう。